保護者の疑問にヤナギサワ事務主査が答えます。|第2回|そんなにいろいろな靴、必要ですか?|栁澤靖明

保護者の疑問にヤナギサワ事務主査が答えます。 栁澤靖明 学校にあふれるナゾの活動、お金のかかるあれこれ……「それ、必要なの?」に現役学校事務職員が答えます。

学校にあふれるナゾの活動、お金のかかるあれこれ……、「それ、必要なの?」に現役学校事務職員が答えます。

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第2回
そんなにいろいろな、必要ですか?

 みなさん、こんにちは。学校の事務室で働いている栁澤です。

 え?! 学校に事務室なんてあったのか……、というひとも──って前回と同じ導入(笑)。このWEBマガ読者のみなさまは、すでに拙著『本当の学校事務の話をしよう』を熟読され、学校事務のエキスパートになっていますよね(?)。

 さて、前回は「ランドセル」という背中ネタだったので、今回は足元をクローズアップしたいと思います。靴系です。代表選手は、「上履き」でしょうか?

 ランドセルのときもふれましたが、靴系も全国的な共通言語はありません。上履きといっても一般的なバレエシューズ仕様のモノからスニーカーと変わらないモノまで勢ぞろいです。

 ここでは、上履き=土足禁止エリアで履く靴、下履き=外で履く靴としちゃいます。こう考えると、それぞれ1足は必要そうですね。でも、上履きにも教室・廊下用、体育館用などがあり、下履きも通学用、運動用などがあります。

 ──そんなに靴、必要ですか? それでは、靴について考えていきましょう。


■♪ いっしょにLet’s think about it. ♪■


 まず、靴は何足そろえるべきなのか考えてみましょう。

 上履きとして教室・廊下用は必要ですよね。土足で校舎を歩いたらエライコッチャ……。じゃあ、教室・廊下用と体育館用を分ける必要があるのかという疑問が出てきます。じつは、体育館用の上履き、いわゆる体育館シューズって全国区じゃないんですよ。(知らない人へ→足底のゴムが滑りづらく加工されていることと、体育館に塗られている特殊なワックスが汚れで剥がれないようにするという期待がこめられた靴のことです)

 あれ、上履きってひとつに統一できそうじゃない? 使用目的を整理してみましょう。

 教室・廊下用は、基本的に土足との区別だけだから、機能性が高い体育館用だけでよさそうですよね。ほかに分ける理由は、教室・廊下の汚れを体育館内に侵入させないことです。キレイな体育館を汚さないように履きかえるわけですが、ぜひ学校の〈体育館参観〉をしてみてください。どのていどのピカピカ床なのか、確認してほしいです。あと、足ふきマットの有無とかも重要ですね。

 体育館って、体育の授業以外にも行事やら式典なんやらで使っていますし、年季が入った体育館も多いです。そのため、履きかえる価値と手間や費用を天秤にかけてもいいと考えています。

 入口で履きかえさせたり、教室で保管させたりするのって意外とたいへんらしいですよ。そのため、教室・廊下用を廃止して体育館用の上履きだけで縦横無尽・自由自在に土足禁止エリアを歩けるようにした学校は多くあります。

* 兵庫県神戸市では、以下リンクのような取組みがあるようです。SpecialThanks──神戸市(K.I)
  日本経済新聞「神戸の小中、教室でも土足(謎解きクルーズ)」(2015年7月18日付)

*    *    *

 あなたのひと言で「履きかえる子どもの煩わしさ」「購入する保護者の費用負担」「指導・管理する学校の手間」から救済できるかもしれません。

 ──っていうとプレッシャーを与えてしまいそうですが、学校って保護者が発する言葉に敏感なんです。だからこそモンスターペアレントなんていう言葉が生まれ、敵視するような立場に追いやることで安心感を得ようとする部分が少なからずあると感じています。

 念のため、書いておきますが「上履きヤメレ」って発言したくらいではモンスター指定されません(笑)。もちろん、ふつうの伝え方ならね。たとえば、体育館が会場の授業参観なんてチャンスだと思います。立ち話から広がる改革ですよ!

 もちろん、廃止に向けた取組み以外でも縛りを緩めていく取組みが考えられます。

 上履きって、学校が指定した形のモノを学校が指定した販売店から購入することが多いモノです(靴の販売店やスポーツ用品店なら理解できますが、文房具といっしょに販売している店もあり、なぜかクリーニング店の場合もあります)。

 しかし、「バレエシューズ仕様」「つま先が〇〇色(学年カラー)」という緩やかな指定に留めている場合もあります。なかには、ガチガチに限定している場合もありますが、逆に下履きと分ければなんでもOKという地域もあります。

 その点、下履きはそこまで縛りは強くないと思います。小学校は通学用と運動用を分けている学校は少ないので、もともと自由な靴です。中学校では、黒系の制服になぜか白い靴を合わせたがる学校は多いですが、白という縛りのみの場合が多く、形はそれなりに自由です。何でもOKという学校も珍しくはありません。

 以上のような情報を共有していきましょう。このあたりも、ランドセルと同様「学校のあたりまえを見直す」という行動で、縛りを緩めることが可能です。

 〈体育館参観〉をして立ち話から改革を──と書きましたが、それもハードル高い……と思われたひとに勧めたいのは〈保護者アンケート〉です。自由記述欄にそれとなく書いてみるといいでしょう。思いが伝わるかは別にしても、内容は伝わります。実施時期は学校それぞれですが、年に1回はチャンスありです。

 いざというときのために専用メモをつくっちゃいましょう。おすすめはスマホのメモ帳アプリです。気づいたときに気づいたことをメモしておくと「年に1回のチャンス」で慌てません。どうぞ、お試しあれ。

 

栁澤靖明(やなぎさわ・やすあき)
埼玉県の公立小中学校(小・7年、中・12年)で事務職員として勤務。「事務職員の仕事を事務室の外に開く」をモットーに、事務室だより『でんしょ鳩』などで、教職員・保護者・子ども・地域へ情報を発信し、就学支援制度の周知や保護者負担金の撤廃に向けて取り組む。ライフワークとして、「教育の機会均等・無償性」「子どもの権利」「PTA活動」などを研究。おもな著書に『学校徴収金は絶対に減らせます。』(学事出版、2019年)、『本当の学校事務の話をしよう』(太郎次郎社エディタス、2016年、日本教育事務学会「学術研究賞」)、共著に『隠れ教育費』(太郎次郎社エディタス、2019年、日本教育事務学会「研究奨励賞」)など。