こんな授業があったんだ│第16回│濁音あそび UFO、変身の術〈前編〉│伊東信夫

こんな授業があったんだ 授業って、教科書を学ぶためだけのもの? え、まさか。1980〜90年代の授業を中心に、発見に満ちた実践記録の数々を紹介します。

授業って、教科書を学ぶためだけのもの? え、まさか。1980〜90年代の授業を中心に、発見に満ちた実践記録の数々を紹介します。

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濁音あそび
UFO、変身の術〈前編〉
伊東信夫
(1970〜80年代 ・ 小学1年生)

 清音から濁音へ

 五十音表にある文字は49文字であるのに対し、濁音表にあるのはたった25文字だけです。
しかも、清音を表わす文字に濁点( ゛)や半濁点( ゜)をつけただけですので、濁音表記は、清音表記とおなじぐらいやさしいのです。したがって、いま、濁音表記に悩む子どもはほとんどありません。清音表記をおぼえれば、その延長で苦もなくおぼえていくという子どもがほとんどです。つまり、

*「ガ」は→「か」に( ゛)で……が
*「ゾ」は→「そ」に( ゛)で……ぞ
*「プ」は→「ふ」に( ゜)で……ぷ

というふうに、あまり苦労する子どもはみかけません。
 もっとも、すこしむかしには(たぶん明治のころまでには)、濁音や濁点などは無視されていたのかもしれません。濁音表記などとくべつなくても、うまく判断してものを書いたり読んだりしていたのではないかと思います。その名残りは、たとえば、つぎのような回文のなかにあります。

*なさきやのやきさ
*なはのくのくのは
*なきよのとおのねりのみなめざめなみのりねのおとのよき

 しかし、清音と濁音のちがいによって、単語そのものがちがってしまうことがあります。

*からす→がらす
*かき→かぎ
*かき→がき
*か→が

 濁音は表記そのもののむずかしさはほとんどありませんが、あそびをつくってみると、これほどおもしろいものはありません。つまり、読み・書きという視点からだけみるとそれほど問題のない濁音ですが、「あそび」という観点からみると、これほどおもしろいものはない、これほど多様なあそびのつくれるものはない、ということができます。

UFOてんてん号のいたずら

ざるの惑星の歌

 まず最初に登場し、濁音あそびの舞台まわしをしてくれるのは、「UFOユーホーてんてん号」──「が号」「ざ号」「だ号」「ば号」、それに「UFOまるつけ号」です。このUFOは、なんと「ざるの惑星」からやってきたのです。
 わたしがこのUFOたちを考えだしたのは通勤の電車のなかでしたから、まだプリントはできていませんでした。でも、すぐにも子どもたちに紹介したくてたまらなくなり、休憩時間に子どもたちをぜんぶ外にだし、そのあいだに黒板につぎのように書いておきました。

   の わくせいから やってきた ゆうほう「てんてんごう」
   ちきゅうの もじに てんてんを つける にんむを もって とんできた。
   「てんてんごう」の うでまえは かくじつ。
   ちきゅうの もじに かたっぱしから てんてんを つける
   さいくは りゅうりゅう しあげを ごろうじろ!
   ちきゅうでの だいいちの しごと
    ぶねでも がいで みまじょうど
    おざるが ぶねを がぎまじだ
    げむりを もごもご ばがぞうど
    えんどづ いっぼん だでまじだ

    なんだが ずごじ ざびじいど
    じっぼも いっぼん づげまじだ
    ぼんどに じょうずに がげだなど
    ざがだぢ いっがい やりまじだ

 教室にはいってきた子どもたちは喜びました。わたしもだまってすわって、ただ、にこにこしておりました。いっしんに目で文字を追っている子どもも、まだたくさんいるなかで、D君はもう、棒を一本もちだして、黒板のまえにやってきました。そして、「なんだこりゃ。こんな歌ってあるか! え?」なんていいながらも、「ぶねでも がいで みまじょうど……」と歌いだしたのです。みんなもつられて唱和します。二番まで歌うと、こんどは、やんちゃなA君が「こんどは、ぼくだよ」と、まえにでてきて、D君から棒をゆずりうけ、「セーノ!」といいながら歌います。A君がおわると、かっ君、かっ君のつぎはキミエちゃんというように、いつつきるともしれません。
「げむりを もごもご ばがぞうど……」
 こんなところでは、のろまでバカづらした象さんのイメージなんかがわいてきて、なんともたのしいのです。みんな、アハアハ笑いながらひとときがすぎました。
「ああ、たのしかったなあ」と一息つくのもつかのま、そのとき、背面黒板から黒板ふきをもちだしたK君が近づいてきたのです。そして、不要な「 ゛」を消しだしたのです。そして、「いっぼん」の「 ゛」を「 ゜」につけかえたりして、たちまち「地球の歌」にかえてしまいました。
 けれども、この地球のほんものの「おさるがふねをかきました」は、さっきの「UFOてんてん号」のつくった歌に比べれば、おもしろくもなんともありません。だれも歌いだすものはありません。せっかく「地球の歌」にもどしたのに、K君はちょっとがっかりの表情でした。
 こうして「おぎょうぎのよいことは、かならずしもいいことではないのだ」ということを、子どもたちは実感としてわかっていったのです。それでいいのです。

地球の歌

 つぎの日はプリントをつくっていきました(文字は点線文字)。

  ふねても かいて みましょうと
  おさるか ふねを かきました
  けむりを もこもこ はかそうと
  えんとつ いっほん たてました

  なんたか すこし さひしいと
  しっほも いっほん つけました
  ほんとに しょうすに かけたなと
  さかたち いっかい やりました

「いいか、きみたちは地球の子どもなんだから、地球の歌にするんだぞ! てんてん号の歌にしちゃ、だめだぞ」と厳然と言ったら、「ええ、けち!」なんて言ってうらめしそうな顔をしながら、「 ゛」をつけていました。
 もちろん、いたずら坊主がたくさんいて、「まちがっちゃった。てんてん号の歌にしちゃったから、もう一枚、プリントちょうだい」とやってくる子どももいました。
「こんどは地球の歌にするんだぞ。でないと、もうプリントはあげないぞ」といいながら、かわりの一枚をやりました。まねっ子がつぎつぎにやってきました。こちらはそのぐらいとっくに見通していますから、プリントを不足させるなんていうへまはやりません。連中、すっかり乗せられて、こんなにたくさん文字を書かせられてしまったことには気づいていないようです。なにしろ、えんぴつをにぎって指さきを微妙に動かしながら文字を書くことほど、人間が人間になるために有効なことはないと考えますので、なるべくたくさん文字を書かせたいのです。それでいいのだと思います。足は第二の心臓、手は第二の頭脳といいますから。
 つぎの日からはたいへんなことになりました。とくに女の子たちは茶目っ気があるのです。わたしといっしょに「花いちもんめ」をやると、こう歌ってからかうのです。
「がっで うれじい ばないぢもんめ」
「まげで ぐやじい ばないぢもんめ」
「どなりの おばざん ぢょっど ぎで おぐれ」
「おにが ごわぐで いがれない」
 ……………
 なんでもかんでもこの調子なのです。山形のなまりがなかなかぬけないわたしをからかうにはもってこいなのでしょう。子どもたちは、「てんてん号」のまほうにかかってしまったように、しばらくは「にごり歌」ばかり歌うのでした。

あっ、UFOだ

「てんてん号」にかかわるいたずらが、あと二つあります。
 まず、つぎのような道具をつくっておくのです(実際は「ふた」だけでなく、「ふし」「いと」「はか」……などとたくさんつくります。図②)。
「ふた」以外の面は全部折り込んで裏にかくしておき、「いいか、これ、ふた・・だろう。ふた・・っていうのは、こんなだよね。わかってるよね、こんなの、わかんない子は、あほうのちんちくりんの、おっぽんぽん……っていうんだよね」なんてよけいなおしゃべりをしながら、「ふた」の絵を裏側からおろしてきます。

 そうしておきながら、おもいっきりでっかい声で「あっ! UFOだ !!」と窓の外をさし、自分も窓辺にいってあらぬ方向の空を見あげます。子どもたちもつられていっせいに窓の外に目をやります。「あ、あれあれあれ……」なんて言いながら、そのときにはすばやく「ぶた」に変えちゃっておくわけです(図③)。「UFOてんてん号がとんできて、ここにくっついちゃった」といいながらとぼけているのです。子どもたちは「うそだあ」とはいいながらも、おもしろがるのです。

紙つぶてのUFO

 つぎは紙つぶてのUFOです。黒板にチョークで大きく「はか」とかいておきます。一方では、バケツにトイレットペーパーを小さくちぎっていれ、それに水をてきとうにかけて直径2センチぐらいの紙つぶてをたくさんつくらせます。つくりながらぶっつけてもよいのです。つまり、「あっ、UFOだ!」とさけんでは紙つぶてをはっしとなげつけるのです(図④)。うまくいくと黒板にくっつきます。さらにうまくいくと「は」の右肩に二つくっつけることができます。みんなで「ばか」をつくるのです。「あっ、UFOだ。UFOだ」といいながら……。とてもたのしい授業になります。

UFO変身箱

「ふた」が「ぶた」に

 図⑤のようなブラック・ボックスがあります。「変身箱」といいます。これは、これからずっと促音にも拗音にも長音にも使います。ただし、舞台まわしは、このたびは「UFOてんてん号」です。促音からはべつの人物が登場しますが、いまはそれを伏せておきます。「変身箱」というのはあまりいい名まえではないとお考えの場合は、「魔法の箱」でもなんでもかまいません。あなたの気にいった、あなたの教室のムードによくあうゆかいな名まえにしてください。
 さて、変身箱が登場します。教室前面のどまんなか、教卓よりはちょっと高いところに、この変身箱のために特別舞台をつくってください。教卓にからのダンボール箱をのっけたぐらいでよいでしょう。
 すると、子どもたちはさっそく目を光らせます。好奇心のかたまりのようなテル君は、もうまえにでてきて、なにか秘密をかぎつけようとしています。
「なんだ? 変身箱 !?」
「だめ! まえにでてきたらだめ !! いまから伊東先生がこの変身箱を使って変身の術を使ってみせる。まえにでてきたら、あぶない。ひっこめ、ひっこめ。いや、ちょっとちがった。まちがえた。伊東先生が変身の術を使うんじゃなかった……。あっ !! UFO !!」
と大声で窓の外を指さす。そのすきに舞台まわしの「UFOてんてん号」をとびださせ、空中にふわっとうかせて(?)おきます。
「ほうら、やってきたろう。このUFOてんてん号が、いまから変身の術をみなさんにおめにかけるために、わざわざから、、ここへやってきてくれたのだ……」
と言いながら、カードを入れる上の口からスポンとなかにはいりこみ、「ごとごと、ごとごと」となにやら仕掛けをかけて、またふたたび上の穴からポンととびだします。そして、箱の上面でてんてん号が「タンスカタンのスッタンタン」とおどりはねて、前面の出窓のかくれ家にスットンとはいりこんでしまいます。
 これで変身術の準備はおわりです。いよいよ本番です。まず「ふた」の絵カードを箱の上にチョンとのっけます。
「さて、みなさん、ここにとりいだしましたのは一枚のカード“ふた”の絵であります。これをここから(ちょっとはじっこを入り口にもぐらしてみて)箱のなかへ入れましたら、どうなるでしょうか」
「ぶただ、ぶただ」という声がきこえてきます。まえに「あっ、UFOだ」でやっていますから、そういう声のおこるのもむりはありません。
「え !? そこらへんで“ぶただ、ぶただ”という声がしますが、さて、みなさん、オタチアイ。そう、ばかのひとつおぼえのように、ぶたばっかりでてくるものとはかぎりませんぞ。じゃ、そろそろ変身の術 !!
 いや、ちょっとまて、そのまえにみなさん、いつものように、例のヘンデルの曲を演奏しながらやってみようではありませんか。それでは……セイ──ノウ!」
 ──ジャン、ジャ、ジャ、ジャーン、ジャ。ジャジャジャジャジャンジャージャ──
 入学式や卒業式など、もろもろの儀式はどうでもよいのですが、授業におけるセレモニーはにぎにぎしく、はなやかに、しかも、愉快かつ盛大におこなわなければなりません。そして、「キン、コン、カン……」という中間リズムにしたがってカードをコトンと入れるのです。すると、かならず「ぶた」になって下の口からでてきます。それから後のようすはあまりくわしく書いてしまわないほうがよいでしょう。ともかく、あなたの教室でじかに味わってみてください。箱のなかでカードがただ180度回転してでてくるだけなのに、どんなさわぎになるか、ともかくあなたがじっさいにやってみられたらよいと思います。

肩すかしの楽しみ

 それで、わたしが変身箱に入れるカードのリストをつぎにあげておきましょう。絵の場合は文字を書きません。

  ① ふた(絵)→ぶた(絵)
  ② さる(絵)→ざる(絵)
  ③ ふく(絵)→ふぐ(絵)
  ④ まと(絵)→まど(絵)
  ⑤ てんき(絵)→でんき(絵)
  ⑥ うす(絵)→うず(絵)
  ⑦ はね(絵)→ばね(絵)
  ⑧ こま(絵)→ごま(絵)
  ⑨ かき(絵)→かぎ(絵−男の子が鍵をもっている)
  ⑩ はか(絵)→ばか(文字)
  ⑪ はけ(絵)→はげ(文字)
  ⑫ へら(文字)→べら(絵)
  ⑬ かけ(文字)→かげ(絵)
  ⑭ たんす(絵)→だんす(文字)
  ⑮ か(絵)→が(文字)
  ⑯ くし(絵)→くじ(絵)
  ⑰ たい(文字)→だい(文字)
  ⑱ いと(文字)→いど(文字)
  ⑲ あさ(文字)→あざ(文字)
  ⑳ はら(文字)→ばら(絵)

 ここで、「⑩はか(墓)→ばか」と「⑪はけ(刷毛)→はげ」をどうしてこのようなカードにするかをちょっとだけ説明しておきましょう。
 この「変身箱」を使うと、「ふた」→「ぶた」……「かき」→「がき」または「かぎ」までみんな絵が絵に変身してきました。子どもたちは、「はか」→「ばか」の場合もとうぜん絵で変身をはたすだろうと期待します。どんな「バカ」の絵がでてくるのか、つまり、変身の結果が「ばか」になるというより、どんな絵がでてくるかがたのしいのです。それはそれはたのしそうな顔で待っているのです。
 ところが、「キン、コン、カン……」とでてきたのは、なんとバカづらの絵どころか、ただの文字「ばか」です。みごとに肩すかしを食ったのです。こんなときほど教師をしていてたのしいことはありません。子どもたちは、わめくは、わめくは、「けち」だの「ばか」だのとあらんかぎりの悪態をもってわたしをにらみつけるのです。教師になった以上、ぜひともこのようなたのしみは味わうべきです。
 さて、ひとさわざがしずまったところで、こんどは「はけ(刷毛)」の絵を箱の上にのっけます。「わるかった、わるかった。こんどはまじめにやるから、ほんとうにまじめにやるから……」となだめます。
 子どもたちは、こんどこそと期待します。ことにわたしの場合はそうです。なぜなら、わたしの頭のうすいことをいつも子どもたちはばかにしているのですから……。きっと伊東先生によくにた頭のてっぺんがピカピカのおじいさんの絵がでてくるだろうと期待しているのです。
 ところが、またしても「キン、コン、カン」ででてきたのは、ただの「はげ」。
 子どもたちはすっかりおこってしまいました。短気もののテル君は、もうほんとうにおこっちゃって、ブラック・ボックスを床にほうりなげたほどでした。しかし、そのぐらいではこわれないように頑丈にできたブラック・ボックスですから安心です。こんどは逆にテル君のやり方に子どもたちのほうがびっくりしてしまいました。そして、一瞬、しーんとなったほどでした。
 わたしのほうは、平気な顔でブラック・ボックスをもとにもどすと、「ゆーかい、ゆかい!」とおどりはねているので、子どもたちは安心したようです。テル君も安心したようです。

UFOまるつけ号のいたずら

「はは」が「ぱぱ」に

 つぎの日は、「UFOまるつけ号」の活躍です。きのうのように変身箱が舞台にあがります。
「あっ !! UFOだ !!」
 ところが、きょうでてきた舞台まわしは、どうしたことか、ただの棒です。じつはまえもって図⑥のような「UFOまるつけ号」と、ただの棒の二つを忍ばせておくのです。それでもわたしは、とぼけていいます。
「ややっ !! これはなんだ、きょうのUFOは姿をかくしてやってきたな。こら! UFO! 姿をかくしたってわかるぞ、さわってみるとちゃんとわかる。ほら、ピュー、キュー、ピュー、キュー……。はやくUFO変身の術をかけておくれ……」
 そこで、透明のUFOは、箱のなかにはいってゴトゴトと術を仕掛けます。つまり、ここでは、子どもたちはきのうとおなじ「UFOてんてん号」の術とおなじものだと考えているのです。
「では、きょうも、変身の術をやりましょう」
 こういって、「はは(母)」のカードをだして変身箱の上にのせます。
「さあて、このカードを変身箱にいれたら、なにになってでてくるでしょう」
「あははは……」
 子どもたちのなかから笑い声がでました。
「ばば、ばばあ!」
「ばばあだよ」
「それではUFO変身の術! ジャーン、ジャージャ、ジャーンジャー。……キンコン、カーン!」
 ところで、でてきたのは「ばば」ではなく、「ぱぱ」だったのです。
「母が年をとってになったのではなく、パパになってしまいました。ゴキタイにそえなくてすみませんでしたね」
 子どもたちはポカンとしてしまいました。そのうち、女の子たちはいいました。
「きのうのUFOとちがうUFOなんでしょう」
「そうでしょう?」
「そうかもしれないね。じゃ、UFOに姿をあらわしてもらおう、こら、UFO、姿をあらわせ !!」
 こうして、「UFOまるつけ号」が姿をあらわします。子どもたちは、またもいっぱい食わされました。
 こうして、「UFOまるつけ号」に使ったカードは、つぎのとおりです。

   母→パパ     はん→パン
   針→巴里     びん→ぴん
   べんち→ペンチ  田んぼ→たんぽぽ

ワークブックの使い方

『ひらがなあそび』の「UFOへんしんのじゅつ」の部分はつぎの図⑦・⑧のようになっています。「UFOてんてん号」の変身術は「さる」が「ざる」に変身します。そして、「UFOまるつけ号」の変身術は「はは」が「ぱぱ」に変身します。
 そして、図⑨・⑩は練習のページで、「まと」が「まど」になる場合を例に、書き方がしめしてあります。□の空欄には、子ども自身が絵を描くように、また、文字も子どもがなぞって書くようにしてあります。
 絵は子どものイメージのむくままに自由にかかせましょう。たとえば、「はげ」の絵などはきっと子どもはおもしろいものを描くでしょう。どうしてもイメージがわかない子が、たとえば、「ってどんなの?」ときくと思います。そのときは、ちょっとしたヒントをあたえてもよいわけです。子どもは、おとなの心配するほど心が枯れていませんから、いろいろユニークで、ユーモアにあふれたものをかくはずです。子どもを信じて、のびのびとかかせましょう。

後編へつづく)

出典:伊東信夫『ひらがなあそびの授業』1985年、太郎次郎社

伊東信夫 (いとう・しのぶ)

漢字研究家、教育実践者。1926年、山形県生まれ。
1947年から91年まで、長く教職にたずさわる。
60年代より、研究者と教師の共同研究をもとに、「漢字」「かな文字」学習の体系化をはじめとする実践的方法論を探究。つねに子どものまえに立ち、多くの教材を創案してきた。
80年代後半より白川文字学に学び、また直接教えを受け、通時性をもつ豊かな漢字の世界を伝えるために研究をつづける。教師や親のための講座などでも活躍。

著書に『成り立ちで知る 漢字のおもしろ世界』全7巻(スリーエーネットワーク)、『漢字なりたちブック』シリーズ、「漢字がたのしくなる本」全シリーズ(共著)、『漢字はみんな、カルタで学べる』(以上、小社刊)などがある。

上の記事に掲載されているワークブック『ひらがなあそび』は1996年に『あいうえおあそび』上下巻にリニューアルされて発売中。濁音あそびは下巻に収録されている。